コーヒーは冷めないうちに


本当の気持ちの奥には、まだ本当の本当の気持ちがある


打ち合わせの席で、

相手の携帯がブルブル鳴った。


私に遠慮しながらも、

嬉しそうにしていたので、

『出ていいよ』と言った。


彼女は、席を外すでもなく、

満面の笑みを浮かべて電話に出た。


私は聞こえるのも何だと思い、

トイレに行って戻ってきたら、

彼女から笑顔が消えていた。


どうやら言いたいことの反対を

言ってしまったらしい。


自分を持て余すというのは、

みんなこんなものだと思う。



本当はそうじゃないのに、

そうねそうねと理解者のフリをする。



それは、そうねの反対が

自分の理想だと

わかっているはずである。


してほしいことが言えなくて、

あれは出来ない

これは無理と

非理解者になる人もいる。



出来ないことや

無理なことが言えるなら、

その逆が理想なのだ。



その理想をなぜ言えないのだろう?

それが笑顔が消えた理由である。



怒りも恋もコーヒーも冷めないうちが一番美味しい


私は恋愛に例えてみた。


恋っていうのは、

相手と向き合うんじゃなくて、

自分のめんどうくささと

向き合う作業です。


でもそれがいちばん難しい。


もっと会いたい。

本当はそう言いたいけれど、

お仕事頑張ってね。

私は大丈夫と強がってしまう。



良い人を演じた自分に落ち込んで、

もう少し甘えればよかった、

ああいえばよかったとくよくよする。


ああ、なんて自分は

めんどくさいんだろう。

もっと素直に取り繕わずに

自分の気持ちを伝えられたら、

どんなに楽か。



それが恋ですよ。



本当は、文句を言える相手が、

一番大切な人だったりする。


彼女は電話をかけ直し、

私はコーヒーをおかわりした。


冷めないうちが一番美味しいのは、

怒りも恋もコーヒーも同じである。




ヤマモト マユミ












#仕事と恋愛は同じ #パートナーシップの対象は相手ではなく自分