ネコと老人と使命


箱座り(香箱座り)

その日はやり直しが何回も出て

帰って編集する仕事も重なって

気が焦っていました。



帰宅を急ぐ人の流れにのって

早足で歩いてたら

私の機嫌を損ねるかのように

流れの速度が落ちました。



私は不機嫌そうな顔で

前を覗き込んだら、

小さな歩幅でよちよち歩く

高齢のご夫妻がいました。



二人はカゴの取っ手を

片方ずつ持って、

何か運んでいるようでした。


だけどそんなに重そうには

見えないのです。



なのに慎重にゆっくりと

揺らさないように注意している

そんな光景でした。



二人にとって

大事なタカラモノが入ってる、

そう思った瞬間、

私の眉間のシワは消えました。



心を掴まれてしまった私は、

追い抜く気持ちもなくなり、

気付かれないように

後ろを付いて歩きました。



カゴと二人に目を奪われた私は、

全く違うことを考えていました。



こういうのを見たら

高級クリームもいらないわけだ。

究極のアンチエンジングだな。



そんなことを思いながら、

信号が赤に変わったとき、

外灯に照らされたカゴの中が

チラリ、見えてしまいました。



ネコです。





猫独特の座り方、

箱座りのような体勢で

静かにカゴに座っているネコを

二人で運んでいたのです。


私はその猫の姿に

感情がこみ上げてきてしまい、

大粒の涙がこぼれ落ち、

大慌てでそれを払い除けました。


ご夫妻と猫に

どんな物語があるのかは

わからないけれど、

ご夫妻の姿をありのままと

いうのなら、


私が大慌てで涙を拭った行為は、

ありのままを見られる自分を

恥じる行為だと言えます。



自分の命を

大事なことに使う

それを使命という。



師に言われた言葉が蘇りました。



誰のためなら命を使えるか?

結局その行動が愛に変化するんです。


予定より2時間も遅れて帰宅。


今自分がどれだけ大事なことに

自分の命を使えているのか

充実という涙が溢れました。


3時間以上覚悟していたやり直しは

時計を見たら40分、

もらった答えは「君でよかった」


使命を全うするということが

どういうことか

ハッキリ見えました。



ヤマモト マユミ


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