ブランド戦略を立てる前に必要なこと

ブランド戦略を立てる最初に必要なことは、自分だったら自分を選ぶか?を明確にしておくことです。
それは何もビジネスに限った話ではなく、自分が相手だったら自分を選ぶか?ということと同じです。
あなたが好きなあの人があなたなら、あなたを選びますか?
目次
ブランドとは
ブランドとは、顧客やユーザーが、〇〇と言えばあなた(もしくは、あなたの会社)が一番に思いつく「〇〇」のことを言います。
商品やサービスの名前を見た人が、一番最初に、あなたやあなたの会社を思い出す「商品やサービス」を指します。
「山と言えば富士山」の人もいれば、高野山の人もいるし、六甲山の人もいます。
この違いは、顧客やユーザー個人の体験による記憶の差です。
また、日本一高い山といえば富士山です。
しかし、日本一美味しいコーヒーは、人によって違います。
その違いが「体験の違い」です。
日本一美味しいお米も、日本一絶景の場所も、日本一使いやすい炊飯器も、個人が体験した中にしかない「日本一」です。
そのことが、日本一高い富士山と何が違うのかと言えば、美味しいとか、絶景とか、使いやすさ等は、個人的感情が決めるものであり、富士山が日本一高い理由に人間の感情は左右されないということです。
富士山がその人にとって良くても悪くても、好きでも嫌いでも、日本一高い山が富士であることは、過去も未来も普遍の原理でもあります。
ですが、「あなたにとっての日本一の山」は、あなたの感情に左右され、普遍の原理は機能を失います。
日本一高い山が富士山であってもなくても、私にとって日本一の山は六甲です、高野山ですとなり、一番は、多岐に及びます。
体験を「イメージ(印象)」という言葉に置き換えると、人間のイメージは、先入観に左右されているということです。
先入観とは、過去の体験による記憶で作られているので、「あの時そうだったから、これもそうよね」というバイアス(思い込み)は誰にでもあります。
鯖寿司で食あたりを起こした人が、鯖を食べなくなることもバイアスによる結果です。
過去、湯あたりを起こした人が温泉に行きたくない理由になったり、犬に噛まれたことがある人が犬を恐れる理由になるのも、バイアスがあるので当たり前なのです。
未体験を選ぶ時に基準にするひとつがクチコミ
では、未体験の何かを選ぶとき、人が何を基準に選んでいるかと言えば、それは、「口コミ」や「評判」、もしくは近しい人の体験談であることが多いと思います。
でも、この口コミや評判も「やらせ」が増えたことは否めません。
であれば、情報を集める側が選ぶ目を養うことも必要になります。
情報弱者ほど、こういった「やらせ」にはまっていくからです。
騙す人を自分はコントロールできませんが、騙されない自分になることは、自分でコントロールできますね。
被害者にならない自分になることは可能です。
クチコミが本物かどうかを見極めるためにも、良いクチコミと悪いクチコミの割合でおおよその目星が立てられたいいわけです。
6:4とか、7:3とか、悪いクチコミも含まれている良いクチコミは、信憑性はあると見込んでも間違いではありません。
また、良いクチコミが投稿されている日付が、同じ日か近隣に集中している場合、クチコミを書くバイトをしている可能性もあります。実際、そういった運営者はSEO会社にいるのは事実です。
ですので、日にちが集中しているコメントより、年間を通して、良い悪いに関係なく評価が書き込まれている商品やサービスは、買う人が年間を通して存在するということにもなるので、未体験の人が体験する基準にできると思います。
当然、良いクチコミしかないものを選ぶリスクは、悪いクチコミも含まれているそれより高めです。
悪いクチコミも、自分には合う場合もありますよね。
要は、個人の体験によって沸き起こる感情で左右される「一番」が、その人にとってのブランドになるわけです。
ここまでをまとめると、世界的に有名なクラフトビール「ブリュードッグ」の創業者、ジェームズ・ワットの言葉に集約できます。
ブランドとは、自分で操ることのできない、人の頭の中にある感情的な反応のこと。つまり、認知の問題なのだ。自分がどう思っているかではなく、他人にどう見られているかが問題になる。
ブランド価値とは
ジェームズワットの言葉を平たく言えば、「人の頭の中の感情的な反応であるブランドは、目には見えないものである」ということです。
ですが、それを見ただけで思い出すものがブランドですので、人の頭の中にある感情的な反応の良いものが、自分や自社の「ブランド価値」になります。
あなたやあなたの会社、商品、サービスの名前(ブランド)が努力を積み重ねて、構築してきた信頼から生まれる顧客の「感情的な良い反応」の象徴ということです。
その結果が、「〇〇といえばあなた」となるのです。
良い反応というのは、ユーザーがあなた(自社)のブランド(社名、商品名、サービス名)を認知した結果です。
つまるところ、認知のきっかけである「ブランド名」こそブランド価値なんですね。
ということは、あなた(自社)の価値をあなた自身が明確にすることが、ブランド戦略を行う以前に重要だということです。
あなたの商品やサービスが買われる理由が「安さ」であれば、顧客にとってあなたの価値は「安さ」であるということです。
であれば、大量生産し、購入者を増やすことに労力を使っていかなければなりませんし、競合がさらに安い商品を出したら、それより安い商品を出さなければなりません。
俗に言う価格競争に勝ち続けなければなりません。マクドナルドのような巨大な調達資源を持っているなら実現するでしょうが、中小や個人が価格競争に勝ち続けることで得るものは「疲弊」です。
経営とは、選択と集中によるトレードオフです。
それを得ることで何を失うのか?ということです。
しかし、単価を上げれば売れるかと言えばそうではなく、顧客をつくるよりファンを作ることで価値が上がった結果が値段だということです。
ブランド価値をつくる顧客体験価値とは
顧客体験価値も、何もすごいことをしなければならないということではなく、「かゆいとろこに手が届くコト」をしてさしあげるということです。
ですが、商品やサービスの良さばかり見る売り手は、顧客のかゆいところがどこか?を見失っていきます。
売るという動作と、買っていただくという動作は、違うからです。売ろうとすればするほど、顧客が見えなくなり、買ってもらおうとすればするほど、顧客のことを知ろうと努力します。
意識というのはどこに向けるかで、結果は逆転するのです。
仮に、自分がされて嫌なことが押売りならば、顧客に押し売りをしてしまっている動作が、商品説明しかないコンテンツです。
自分が見にくいものを顧客に見せているのも、かゆいところに手が届いていないということです。
自分が相手だったら、自分の動作をどう感じるのか?ということを考えたあとで発車しなければなりません。
こうしてブランド価値とは、商品やサービスの良さだけではなく、信頼の結果であることを忘れてはいけません。
どんなに素晴らしい内容でも、人はそれを人から買うという意識を強く持たなければなりません。
まとめ
ニューノーマルとは、情報検索から人間検索に時代が変わったというですので、商品やサービスが良いことが当たり前ならば、それはどんな人に、どう良いのかが伝わった時に、その人の感情から生まれるものが「ブランド価値」です。